H28 東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」全体会議に参加しました
平成28年度東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」全体会議(於 仙台、東北大学農学部)に参加しました。本分野の研究と関連して以下のポスター発表を行い、活発な議論を行いました。
ポスター発表要旨
1:三陸沿岸域における放射性炭素同位体比の分布:水塊混合の指標としての利用
佐藤菜央美、福田秀樹、宮入陽介、横山祐典、永田俊
目的:放射性炭素同位体を化学指標として取り入れることで、水塊の混合状況を正確かつ定量的に把握する。
方法:大槌湾、釜石湾、女川湾及びその沖合に設けられた観測店にて海水を採取し、溶存無機炭素の放射性炭素同位体を観測。
結果:水温7℃以上の表層水におけるΔ14Cは18~30‰、7℃以下の表層水は明瞭に明瞭に低い値となった。
2:東日本大震災以降5年間の大槌湾周辺の栄養塩動態
福田秀樹、楊燕輝、津田敦、小川浩史、永田俊(AORI)、高巣裕之(長崎大)、横山太一(JAMSTEC)、宗林留美(静岡大)、太田尚志(石巻専修大)
目的:大槌湾内の生産力を考えるうえで重要な栄養塩類の動態に注視し、大津波による攪乱とその後の変化を中・長期的に検討する
方法:大槌湾内に設けた3~5つの観測点に置いて調査を継続。水温、塩分については、CTDセンサーを用いて測定し、二スキン採水器を用いて採取した海水の無機栄養塩類をはじめとする溶存態、懸濁態の成分を定量した。
結果:5年の年月を経て、湾内の栄養塩類の動態はある程度震災前の状態に回復したものと考えられる。一方で流入する河川では、人口や社会基盤の変化と連動した栄養塩類の濃度の変化がいまだ引き続き見られた。
3.Seasonal patterns of picoplankton in relation to water masses in Sanriku coastal sea
Yang Yanhui, Fukuda Hideki, Nagata Toshi (AORI)
Purpose: The purpose of this study was to investigate the distribution and seasonal patterns of picoplankton in relation to the dynamics of water masses in this region.
Method: OT line and 2 stations set in- and outside of Otsuchi Bay were investigated during summer and winter cruises conducted between 2012-2015. Picophytoplankton, bacteria and viruses were analyzed by the flow cytometry.
Results: Chl was generally high in nutrient-rich Oyashio waters. Distribution patternsof Syn and Euk abundance were distinct from those of Chl and were generally high in the Otsuchi Bay relative to the offshore regions. Prochlococcus was detected only during summer. The abundance of bacteria and viruses displayed large seasonal variability.