論文発表:サブミクロン粒子にはプロリンがたくさん含まれていた
プロリンというのはタンパク質を構成する20種類のアミノ酸のひとつなのですが、ほかのアミノ酸とくらべてちょっと変わった分子構造をしています。これまで、アミノ酸分析の方法上の問題から、海洋環境中の有機物や微生物にどのくらいのプロリンが含まれているのかということについてはよくわかっていませんでした。本研究では、GC/MSという方法を使って、海水中の細菌サイズ粒子(サブミクロン粒子)に含まれる各種アミノ酸の量を調べてみました。その結果、サブミクロン粒子に含まれていた全アミノ酸の40%以上がプロリンで占められているという興味深い結果が得られました。このことから、海洋環境中の生元素動態の中で、プロリンないしはプロリンを多く含むタンパク質が、まだ知られていないなにか重要な役割を果たしているのではないかと考えられました。今後、プロリン含有物質の化学形態や生化学的な特性をより詳しく調べる必要がありそうです。
掲載誌:Frontiers in Marine Science (オープンアクセス)