活動報告:新青丸航海KS-18-8-三陸沖を調査しました

生元素動態分野では、2012年以来、東北海洋生態系調査研究船(学術研究船)「新青丸」(1,635トン)を利用した、震災後の三陸沖の調査研究に参加しています。この調査の目的は、三陸沿岸海域の物理、化学、生物特性を長期的にモニタリングすることで、沿岸生態系の維持・変動機構についての理解を深めることです。

本航海(KS-18-8次航海)では、定点観測に加えて、大槌湾の湾口での48時間集中観測も実施しました。その狙いは、湾内と湾外の海水交換の実態や海流による化学物質(栄養塩類)や生物の輸送の仕組みを明らかにすることです。

これまでの研究では、湾内の調査と、湾外の調査は別々に行われるのが普通でしたが、本航海では、新青丸での湾外観測と、国際沿岸海洋研究センターの小型船艇「弥生」による湾内観測を連携させるという、初めての試みにも挑戦しました。この連携観測により、湾内と外洋の「つながり方」の解明が大きく前進することが期待されます。  (永田 俊)

釜石湾でのCTD観測―丘の上に釜石観音がみえます

 

海況や現場の状況によって観測スケジュールは頻繁に更新されます。乗船研究者にとって、研究室のホワイトボードは、重要な情報センター(48時間集中観測にて)。

 

現場型懸濁粒子画像解析装置(LISST)―海水中の粒子の数や大きさをレーザー光の回折やホログラフから解析する装置です。

 

底生生物の採集も行いました。深海底の人気者センジュナマコがとれました。

 

ドローンを使った空中からの写真撮影も行いました。

 

航海期間 2018年7月22日~7月30日

航海の研究題目 「巨大津波による三陸沿岸生態系の擾乱とその回復過程に関する研究」

主席研究員 永田俊・東京大学大気海洋研究所・教授

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